“こちらがわ”の漢字の書き方と例文
語句割合
此方側100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
墓の此方側こちらがわなるすべてのいさくさは、肉一重ひとえの垣にへだてられた因果いんがに、枯れ果てたる骸骨にいらぬなさけの油をして、要なきしかばね長夜ちょうやの踊をおどらしむる滑稽こっけいである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その此方側こちらがわを流して通ると云うのは、白島山之助が姉の敵を討ちたいと申して、無理に伯父にいとまを乞うて出立した者、山之助も向うへ巡礼が来るなと思いましたけれども
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すると内側ですぐ「はい」という返事がした。ほとんど反響に等しいくらい早く彼の鼓膜を打ったその声のぬしは、下女でなくてお延であった。急に静まり返った彼は戸の此方側こちらがわで耳を澄ました。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)