“きつき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
杵築66.7%
先刻16.7%
𠮷記16.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
また、良人の忠興は、数度の軍功に、秀吉から引立てられて、豊後杵築きつき大禄たいろくに封ぜられている。——そして大坂でのやしきは、玉造たまつくりにあった。
豊後が理由わけを訊くと、先刻きつき忠成は道の通りがかりに、腹が空いて困るから、湯漬ゆづけなりと振舞つて欲しいと言つて、座敷に上り込み、主人も家来も負けず劣らず大食おほぐひをして帰つたあとだと解つた。
末松夫人は先刻きつきから悪い者が通りかゝつたと思つて、身体からだ乾葡萄ほしぶだうのやうに平べつたくして、成るべく見つからないやうにしてゐたが、老人に呼びかけられて、強ひてぢ曲げるやうに笑顔を作つた。
公卿日記で名だかい同家の「𠮷記きつき」も「𠮷口伝きつくでん」もみな下の長い“𠮷”である。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)