同僚の前ではさもあらばあれ家郷思遠征かきょうえんせいをおもうと吟じて平気に澄ましておれど、(笑いたもうな)浪さんの写真は始終ある人の内ポケットに潜みおり候。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)