しかし紐育の協会図書館ソサイテイ・ライブラリ講堂に集まつた人は僅か六十人に過ぎませんでした。これらの聴衆は荒涼たる如月の宵に三時間も打ち震へながら、この天才の光耀赫々たる狂想に耳を傾けたのです。
『ユリイカ』挿話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)