いまだ癒えぬ傷あといまだいえぬきずあと――放射線火傷で右手をうしなつた木挽きの妻と河原にうつ伏せて死んでいた幼女に――――ほうしゃせんやけどでみぎてをうしなったこびきのつまとかわらにうつぶせてしんでいたようじょに――
あなたはその後どうしていますか。あなたと私は、あの高原の山里で、いわば行きずりの旅の者同志にすぎなかつた筈ですのに、あれから四年經ついまも、私は折りにふれてはあなたのことをたびたび思いだしています。 あの女のひとはどうしているだろうと、名前 …