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『ある時刻』
ふりがな文庫
『
ある時刻
(
あるじこく
)
』
わたしは熱があつて睡つてゐた。庭にザアザアと雨が降つてゐる真昼。しきりに虚しいものが私の中をくぐり抜け、いくらくぐり抜けても、それはわたしの体を追つて来た。かすかな悶えのなかに何とも知れぬ安らかさがあつた。雨の降つてゐる庭がそのまゝ私の魂と …
著者
原民喜
ジャンル
文学 > 日本文学 > 詩歌
初出
「三田文学」三田文学会、1946(昭和21)年10・11月合併号
文字種別
新字旧仮名
読書目安時間
約4分(500文字/分)
朗読目安時間
約6分(300文字/分)