『寝たらぬ日記（ねたらぬにっき）：湘南サナトリウムの病院にて（しょうなんサナトリウムのびょういんにて）』

櫻草が雨に濡れたまま圓陣を造つてゐる。—— 昨日は日光室で煙草を一本吸ふと、馳け足で引き返し、リゾオルの中へ手を突つ込んだ。 此處の病室には愛と日光とが行き渡つてゐる。角のあるものは、ドアーと三角形のレントゲン室と、病人だけだ。 昨夜はベラ …

著者	横光利一
ジャンル	文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行
初出	「文藝時代　第三卷第七號」金星堂、1926（大正15）年7月1日
文字種別	旧字旧仮名
読書目安時間	約3分（500文字/分）
朗読目安時間	約5分（300文字/分）