若き日の室生犀星わかきひのむろおさいせい
わたくしは明治四十二年、十九歳の春上京してのち、明治末、大正はじめの数年間を、なまけ学生として、本郷の師匠の家の周囲を転々としながら三田に通学してゐた。 そのころ二十一二の室生犀星はどこに棲んでゐたものか、毎夜のやうに根津権現うらあたりの酒 …