呪はれた手のろはれたて
彼が、机の上の原稿紙に向つてペンを動かしてゐると、細君が外からべそ面して、駈け込むやうに這入つて来た。五つになる二女がおい/\泣いてついて来た。——また継母にやり込められたのだ。 困つたものだ——と彼は眉を寄せて、ペンを置いて、細君がおろ/ …