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『梅雨』
ふりがな文庫
『
梅雨
(
つゆ
)
』
去年の梅雨には曇天が毎日續いた。重苦しい濕氣のなかで私は毎日ねつとりとした汗をかき、苦しんだ。思へば毎年その頃になつて筆の動いた試しがないが、この年の梅雨の日は或る日どこからか逃げてきたらしい鶯が庭の繁みのなかで鳴きはじめた。梢をのぞいても …
著者
横光利一
ジャンル
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆
初出
「大陸 第二卷第七號」1939(昭和14)年7月1日
文字種別
旧字旧仮名
読書目安時間
約3分(500文字/分)
朗読目安時間
約5分(300文字/分)