正直に云つて、晩年の鏡花先生は時代に取り残されたと云ふ感がないではなかつた。先生の如く過去に極めて輝かしい業績を成し遂げた人は、いかなる場合にも心の何処かに晏如たるものがあるから、あまり淋しさうにはしてをられなかつたけれども、老後の先生が久 …
著者 | 谷崎潤一郎 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
初出 | 「図書 三月号(第五十号)」岩波書店、1940(昭和15)年3月5日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約3分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約5分(300文字/分) |