引越しひっこし
実際その電報には驚いた。僕としてそんな用命にあづかつたことは生れて初めてでもあつた。「アスアサゴジヒキコシテツダヒタノム」といふのだ。朝五時!……僕は此の十幾年といふもの夜昼転倒の生活をしてゐるのだ。それを電報打つたその親戚も知らないわけで …