西部通信せいぶつうしん
その日はカラリと晴れた、やはらかい日射しの、秋の一日だつた。私は暫く麦のよく稔つた田園を歩いた後、フト玉を突いてみたい欲望を抱いた。別にしたいこととてもないその午後に、一つの欲望が湧いたといふことはひどく私を有頂にした。 やがて最初に目に入 …