麦やきの日むぎやきのひ
人手なき独り者 治兵衛の麦はせに 飛火して燃えうつり 泡を喰った治兵衛は 麦束もて火を叩く 風つのり火はさかり 麦はせは凡て燃え 治兵衛は大火傷 やけどした六十男 治兵衛はわめきつつ こげのこる麦の穂を かき集めかき集め かなしさと痛さとに …