冬を待つひとふゆをまつひと
こほれる利根のみなかみに、 ひねもす銀の針を垂れ、 しづかに水に針を垂れ、 さしぐみきたる冬を待つ。 ああ、その空さへもうすくもり、 かみつけの山に雪くれば、 魚らひそかに針をのみ、 ま芝は霜にいろづけど、 ひとり岸邊に針を垂れ、 來らむと …