妄想患者もうそうかんじゃ
ふつと、軽い夢が消えると、窓先を白い花が散つてゐた。何かにギクリと悸された鼓動の余韻が、同じやうに静かに、心から散つて行くのを、私は感じた。 「桜の花だつたか。」、私はさう思つた。 ガジガジと、インク壺の中へペン先を突き込む音がする、慌しく …