わが生活よりわがせいかつより
今年になつて——。 四月——鞄を一つぶらさげて、三崎、城ヶ島のあたりを独りでさ迷つてゐた。随筆風のものを折々書いてゐたが、どうしても短篇小説を一つその月ぢうに書きあげなければならぬと力んで、こつこつと夜を更してゐたが何としても捗らなかつた。 …