トラ子はもみの頸輪をして、庭のいてふの樹を駈けあがりかけ下りたりしてゐる。トラ子の木のぼりは彼唯一の芸で、私たちをたのしませるために一日に一二度はやつて見せる。トラ子といふのは今年の六月生れの、ほんとうは雄猫である。はじめ隣家にもらはれて来 …
著者 | 片山広子 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
初出 | 「婦人朝日 第四巻第一号・新年特別号」朝日新聞社、1949(昭和24)年1月 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約3分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約5分(300文字/分) |