ラジュウムの雁ラジュウムのかり
青ざめた薄明穹の水底に少しばかりの星がまたたき出し、胡桃や桑の木は薄くらがりにそっと手をあげごく曖昧に祈ってゐる。 杜の杉にはふくろふの滑らかさ、昆布の黒びかり、しづかにしづかに溶け込んで行く。 どうだ。空一杯の星。けれども西にはまだたそが …