地獄の門じごくのもん
お祭りの夜だった。 叔父は薫を自転車に乗せて走ってゐた。と、警官が叔父を呼留めた。それから二人は警察へ連れて行かれた。薫の顔とそこの机は同じくらいの高さだった。叔父は頻りに薫の慄へてゐるのを宥めながら言ひ訳した。 「こんなに慄へてるぢゃあり …