モオリアックのこと
現代作家の中で誰が一番好きかと問はれたら、僕は躊躇せずにモオリアックの名を擧げるだらう。去年の夏は病氣で仕事が出來なかつたので、毎日のやうにサナトリウムの裏山へ行つては木蔭に寢ころんで、東京から取り寄せたフランスの新刊小説に讀み耽つたものだ …