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『童貞記』
ふりがな文庫
『
童貞記
(
どうていき
)
』
はかなくうら悲しい日が続く。万象を浮せる一切の光線は湿つて仄暗い。夕闇のやうに沈んだ少年の眼は空間にゆらぐ幽かな光線を視つめる。空気に映つた光線は静かに一つの映像を刻んで行く。光線は盛り上り広まり伸びて鮮明な像を少年の眼に映す。少年の眼はや …
著者
北条民雄
ジャンル
文学 > 日本文学 > 小説 物語
初出
「山桜」1934(昭和9)年7月号
文字種別
新字旧仮名
読書目安時間
約3分(500文字/分)
朗読目安時間
約5分(300文字/分)