『山麓』
あの頃私は疲れてゐた。遠い山麓の信夫の家で疲れた古い手を眺めてゐた、あの頃。 山麓の一人の女、信夫の奥さんと顔をあはせる。さうすると、ひつそりした山麓の空気が私の鼻先の部分だけ小さくびる/\と震え、そこに出来た小つちやな真空の中へ冷めたい花 …
著者 | 坂口安吾 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「東洋大学新聞 第一〇一号」東洋大学新聞学会、1933(昭和8)年4月30日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約4分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約6分(300文字/分) |
作品に特徴的な語句
顳顬