清潔な文章を買ふせいけつなぶんしょうをかう――芥川賞(第二十一回)選評――――あくたがわしょう(だいにじゅういっかい)せんぴょう――
この雑誌の前の号で、私は坪田譲治さんの文章を読み、いろいろな感慨にふけつた。 坪田さんは、すぐれた作家であるが、それなら、人間生活の美醜について最も敏感なはずであり、また、人間生活を美しいものにすることをねがつてゐるにちがひない。ところが、 …