渡舟場とせんば――近代説話――――きんだいせつわ――
東京近くの、或る大きな河の彎曲部に、渡舟場がありました。昔は可なり交通の頻繁な渡舟場でしたが、一粁あまりの川下に、電車が通じ橋が掛ってから、すっかり寂びれてしまいました。附近の農家の人たちが時折利用するだけで、船頭は爺さんだし、舟も古びたも …