怪異に嫌わるかいいにきらわる
坪井君は丹波の人である。その丹波の田舎に或る時、伯父の家を訪れたところ、年老いた伯父は、倉からいろいろな物を持出し、広い座敷に処狭きまで置き並べて、それに風を通していた。 ——君は田舎の旧家にある土蔵を知っているだろうか。壁の厚み三尺以上も …