地水火風空ちすいかふうくう
月清らかな初夏の夜、私はA老人と連れだって、弥生町の方から帝大の裏門をはいり、右へ折れて、正門の方へぬけようとした。二人とも可成り酔っていた。不忍池の蓮の花に、月の光が煙っているのを眺めながら、一杯傾けての帰りなのである。 八角講堂の裏の、 …