話の屑籠はなしのくずかご
田舎の旧家には、往々、納戸の隅あたりに、古めかしい葛籠が、埃のなかに置き忘れられてることがある。中に何がはいってるか分らないままで、誰の好奇心も惹かずに、ただ昔から其処にあったという理由だけで、相変らず其処に在る。それを誰も怪しまない。葛籠 …