「日本怪談全集」序「にほんかいだんぜんしゅう」じょ
私が最初に怪談に筆をつけたのは、大正七年であつた。それは『魚の妖・蟲の怪』と云ふ、中央公論に載せたもので、『岩魚の怪』と『蠅供養』の二つからなつてゐた。 ところで、幸か不幸か、其の怪談の評判がよかつたので、彼方此方から怪談を頼まれるやうにな …