無題(十)むだい(じゅう)
三四日梅雨のように降りつづいた雨がひどい地震のあと晴れあがった。 五時すぎて夕方が迫っているのに雀がチクチチチと楽しそうに囀り、まだ濡れて軟かく重い青葉は眼に沁みる程蒼々として見える。どこでホーホケキョと鶯の声がする。遠くの欅の梢や松の梢の …