田端の汽車そのほかたばたのきしゃそのほか
東京に対する空襲ということが段々まじめに考えられるようになってから、うちではよく夕飯後に東京地図をもち出した。その頃もうわたしは目白の家をひきあげて友人がそこに住み、本郷の弟の家に暮しはじめていた。 弟の一家は三人の子供に夫婦ぎりであるけれ …