あちこちに廃墟が出来てから、東京という都会の眺望は随分かわった。小石川の白山から、坂の上にたって、鶏声ケ窪の谷間をみわたすと、段々と低くなってゆく地勢とそこに高低をもって梢を見せている緑の樹木の工合がどこかセザンヌの風景めいた印象をあたえる …
| 著者 | 宮本百合子 |
| ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
| 初出 | 「学友会雑誌」誠之小学校、1939(昭和14)年6月16日執筆、掲載月日不詳 |
| 文字種別 | 新字新仮名 |
| 読書目安時間 | 約4分(500文字/分) |
| 朗読目安時間 | 約7分(300文字/分) |