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『一条の詭弁』
ふりがな文庫
『
一条の詭弁
(
いちじょうのきべん
)
』
その夫婦はもう十年も一緒に棲んで来た。良人は生活に窶れ果てた醜い細君の容子を眺める度に顔が曇つた。 「いやだいやだ。もう倦き倦きした。あーあ。」 欠伸ばかりが梅雨時のやうにいつも続いた。ヒステリカルな争ひが時々茶碗の悲鳴と一緒に起つた。 或 …
著者
横光利一
ジャンル
文学 > 日本文学 > 小説 物語
初出
「文藝時代」1925(大正14)年4月1日発行、第1巻第1号
文字種別
新字旧仮名
読書目安時間
約3分(500文字/分)
朗読目安時間
約5分(300文字/分)