雨になる朝あめになるあさ
この集を過ぎ去りし頃の人々へおくる 序二月・冬日 二月 子供が泣いてゐると思つたのが、眼がさめると鶏の声なのであつた。 とうに朝は過ぎて、しんとした太陽が青い空に出てゐた。少しばかりの風に檜葉がゆれてゐた。大きな猫が屋根のひさしを通つて行つ …