部屋へや
二階受持のさをが、障子の陰から半分顔を出し、小さい声で囁いた。 「一寸、百代さん、来て御覧なさい」 机に向って宿題をしていた百代は、子供らしく下からさをを見上げた。 「なあに」 さをは、障子紙に銀杏返しの鬢を擦る程首を廻して玄関の方へ気を配 …