棕梠のそよぎしゅろのそよぎ
黄ばんだ一本の棕梠、 痛ましく裂けた葉のそよぎ。 冷たい秋の空気にふれて、 かなしい秋、調べをきざむ。 淋しい心の華が開き、 灰色の眼をあげて なつかしい譜の鳴る方へ、 絶えず懐ひが、 躍り出す。 …