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赤川大膳
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あかがはだいぜん
此時上段の
簾の前には
赤川大膳藤井左京の兩人
繼上下にて左右に居並び常樂院
天忠和尚が
披露につれ大膳が簾を
卷ば
雲間縁の
疊の上に
錦の
褥を
敷天一坊安座し身には
法衣を着し
中啓を
奪取たれば江戸は
面倒なるべし
如ず此より上方に取て
返し中國より九州へ
渡んにはと
遂に四國に
立越しが伊豫國なる
藤が
原と云ふ山中に來り爰に
一個の
隱家を得て
赤川大膳と姓名を
變じ山賊を
靜々と
鳴して出來るは是なん
赤川大膳なり
頓て座に就て申樣
拙者は徳川天一坊殿
家來赤川大膳と申者なり何等の
御用向にて參られしと
尋ければ
與力等は
平伏して私し共は
當月番町奉行松平日向守
組與力堀十左衞門片岡逸平なり奉行日向守申付には