小塚こづか)” の例文
伝馬町の牢からお助けしなければならない。でなければ、おふたりはあすは小塚こづかはらで首をきられるのだよ——わかったかえ
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
しからば、その公許の塩づけ貯蔵個所なるものは、そもそもどこであるか?——右門の判断を待つまでもなく、それは鈴ガ森と小塚こづかぱらの二個所です。
見返柳みかえりやなぎの立っていた大門おおもん外の堤に佇立たたずんで、東のかたを見渡すと、地方今戸町じかたいまどまちの低い人家の屋根を越して、田圃のかなたに小塚こづかぱらの女郎屋の裏手が見え
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「いまは小塚こづかぱらの無縁墓だ」と栄二はまた窓の外へ眼をやりながら云った、「——げじげじなんて云われるほどあくどいことをしても、結局いいめは出なかったんだな」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
今から六年前のちょうど今月今日召捕られまして、八月十九日に小塚こづかぱらでお仕置を受けました鼠小僧次郎吉ねずみこぞうじろきちなんか、その五人の中には入って居りません。あんな野郎はまだ駆出しで
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
「わかったぞ! これは小塚こづかぱらだ」
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お城大工棟梁泉田筑後は、千住せんじゅ小塚こづかはらのたまりから引きだされて、正五ツ(八時)のしおき場にひきすえられました。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
おっつけ鈴ガ森か小塚こづかぱらにでも参るようになりましょうから、それまでご窮屈でござんしょうが、あそこの自身番でごゆっくり蚊にでも食われなせえよ
左右ともに水田のつづいた彼方かなたには鉄道線路の高い土手が眼界をさえぎっていた。そして遥か東の方に小塚こづかぱらの大きな石地蔵いしじぞうの後向きになった背が望まれたのである。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)