“古袷”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふるあわせ69.2%
ふるあはせ30.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
松村は、私から十円札を受取ると、古袷ふるあわせ一枚に、皺くちゃのハンチングという扮装で、何も云わずに、プイとどこかへ出て行った。
二銭銅貨 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
身には破れた古袷ふるあわせをきて、その上に新らしいみのをかさねて、手には海苔ヒビのような枯枝の杖を持って素足でぶらぶらと迷い歩いている。その風体ふうていがここらの漁師ともみえなかった。
半七捕物帳:32 海坊主 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わけても美しいお北が見る影もない古袷ふるあはせに包まれて、人の足音におびえるやうに、部屋の隅に小さくなつて居るのは、平次の眼にも物哀れに映ります。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
又、去年の一夏、健が到頭古袷ふるあはせを着て過した事、それで左程暑くも感じなかつたといふ事なども、かれ自身の口から聞いてゐたが、村の噂はそれだけではなかつた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)