鼻皺はなじわ)” の例文
「なんの、三日や五日のことが」と、大納言は天女の悲しむありさまを見て、満悦のために、不遜なえみ鼻皺はなじわにきざんだ。
紫大納言 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「うんにゃ、ちげえますだ」と、その百姓は、クスンと鼻皺はなじわを寄せて、隣に控えていた、もひとりの百姓の顔を見た。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ブルドックだか土佐犬だか、耳が小さくっぺたのひろがったその犬は、最初ものうそうに眼をひらいたが、みるみるうちに鼻皺はなじわを寄せて、あつい唇をまくれあがらせた。
こんにゃく売り (新字新仮名) / 徳永直(著)
能登は鼻皺はなじわをよせてわらった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)