骨子こっし)” の例文
これより暫らくは夫婦の上には何事のおはなしもございませんが、末になると全く離魂病の骨子こっしをあらわし、また因果塚のよっておこることゝ相成るのでございます。
一 脚色の変化におもきを置き人物の描写を軽んずるものはいはゆる通俗小説にして小説の高尚なるものにあらず。人物の描写を骨子こっしとすれば脚色はおのづからできて来るものなり。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
いわゆる怪力乱神を「世にあり得ること」として話の骨子こっしにとり入れてあるものだが、中には多少、宋朝の史実もみいれ、編中人物の行動などにはかなりリアルなふしもある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は聊斎志異りょうさいしいの中の一つの物語を骨子こっしとして、大いに私の勝手な空想を按配あんばいし、「清貧譚せいひんたん」という短篇たんぺん小説に仕上げて、この「新潮」の新年号に載せさせてもらった事があるけれども
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
これだけメンミツな計画犯罪を行うためには、事前にあらゆる事情に通じて、かつ、それを骨子こっしにメンミツな打ち合せをとげる必要があり、幾度かの会合と打ち合せをとげることが必要であります。
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
とは評論全篇の骨子こっしにして、論者がかかる推定すいていより当時もっとも恐るべきのわざわいは外国の干渉かんしょうに在りとなし、東西開戦かいせんせば日本国の存亡そんぼうはかるべからざるごとくに認め、以て勝氏の行為こうい弁護べんごしたるは