しゅく)” の例文
旧字:
お節句の菖蒲しょうぶを軒から引いたくる日に江戸をたって、その晩はかたの通りに戸塚に泊って、次の日の夕方に小田原のしゅくへはいりました。
半七捕物帳:14 山祝いの夜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
君達はおお方リッパハのしゅくを遅く立ったのだろう。
で、母子おやこは何にって衣食しているか判らぬが、折々にふもとしゅくに現われて物を乞うのを見れば、ず一種の乞食であろう。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
頃は去る明治二十三年の春三月、父はよんどころなき所用あって信州軽井沢へ赴いて、およそ半月ばかりも此のしゅくに逗留していた。
この加賀澤から更に二十里ほどの奥であると云えば、の地勢などはくわしく説明する必要もあるまい。そこに戸数八十戸ばかりの小さいしゅくがある。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
殊に僕が草鞋をぬいだこの駅というのは、むかしからのあいしゅくで、一体が繁昌しない土地であったらしい。
山椒魚 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
翌三十日は粕壁、松戸を経て、幸手さってしゅくに入り、釜林という宿屋に泊まる。まことに気の長い道中である。
寄席と芝居と (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その帰りに、ゆうべは三島の本陣へ泊ると、道楽者の七蔵は近所を見物するとか云って宿を出て、しゅくの女郎屋をさがしにゆく途中で、一人の男に声をかけられた。
半七捕物帳:14 山祝いの夜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
近来にぎやかになったと云っても、はり山間の古いしゅくである。町の家々は昼も眠っているように見えた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その頃の小田原と三島のしゅくは、東海道五十三次のなかでも屈指の繁昌であった。
半七捕物帳:14 山祝いの夜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なんだか頭がふらふらして眩暈めまいがするように思われるので、ひどく勇気が沮喪そそうしてしまって、まだ日が高いのに途中の小さいしゅくに泊まることにして、駅の入口の古い旅籠屋はたごやにころげ込んで
山椒魚 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)