餡餅あんもち)” の例文
ともかくもただ空腹をしのぐというだけでなしに、しだいに口をよろこばすという目的がつけ加えられたことは、餡餅あんもちなども同じである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
踏み轟かす道人餡餅あんもち腹にりて重量おもみを増したるにや兎角にしりへさがる露伴子は昨年此道中を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
忘れたり澤を傳ひ峯に上る隨分さかしき峠なれど馬にまかせてけはしき事を知らず東もち屋村といふは峠の上にして人家四五軒あり名物の餡餅あんもちありこゝにて馬を圍爐裏ゐろりの火にかゞみし手足を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
単に由緒久しき名物の餡餅あんもちであったことを知るに至っては、心窃こころひそかに在来の宗教起原論の研究者が、いたずらに天外の五里霧中に辛苦していたことを、感ぜざる者は少なくないであろう。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
落す詞なり和田峠ののぼりは馬に乘りたれば野々宮高砂のゝみやたかさごなりしがくだりはあなどりて遊び/\歩きたる爲め三里に足らぬと聞くに捗取はかどらぬこと不思議なるうへ下口おりくちはドカ/\と力も足にる故か空腹甚しく餡餅あんもち二盆半の豪傑すら何ぞやらかす物はないかと四方を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)