“顫音”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
せんおん47.1%
トレモロ29.4%
トリル11.8%
トリロ5.9%
ふるへごゑ5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
部屋のあらゆる部分に懸っている立派な帷帳とばりは、その源の見出さるべくもない、低い、憂鬱な音楽の顫音せんおんにつれて震えていた。
なんらかの音楽の上になんらかの語られる声を張りつけて、顫音トレモロを伴わせながら無理やりに、粗野な公衆へ粗野な効果を与えるのが、主眼ではない。
それは小さいはげしいおびえたような顫音トリルで、クレエテルヤアン氏はそれを聞くと、口をつぐんでしまった。
トリスタン (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
眞紅のデコルテを著た、髮の黒い、目の大きな、痩身の少女は、最初、母親らしい婦人の伴奏で、タルティニの「惡魔の顫音トリロ」にその妙技を見せた。
四葉の苜蓿 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
唱歌の長が弓を當てて胡弓のうなりめしてみると、樂器は忽ち哄笑たかわらひ顫音ふるへごゑのおどけた鳴動をして答へた。伊太利亞狂言がよく消化こなれずに腹の中にあるのだらう。
胡弓 (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)