雇主やとひぬし)” の例文
今迄に受けたことのない心づかひのまととなつて、しかも、それが雇主やとひぬしで、目上の人からせられたので、却つて、私は、まごついた。
傾けつ「何でも先生、亜米利加アメリカで苦学して居た時に、雇主やとひぬしの令嬢に失恋したとか云ふことだ、先生の議論の極端過ぎるのも其の結果ヂヤ無いか知ラ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
たつた一と眼で雇主やとひぬしをすつかり夢中にさせてしまひ、何百兩といふ巨額の支度金を取つて妾奉公に出た上、鴛鴦ゑんあうふすまの中で、したゝかに垂れ流すといふ、大變な藝當をやる女もあつたのです。
今ま貴女のおほせられた金山と言ふ大名華族の老人が、其頃小米こよねと申す婦人を外妾めかけの如く致して居たので、雇主やとひぬし——其の芸妓屋げいしややに於ては非常なる恐慌きやうくわうきつし、又た婦人の実母はゝからは
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)