“鈍染”の読み方と例文
読み方割合
にじ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
銀之丞の美しい眼尻には涙どころか、血が鈍染にじんでいた。二人は思わず互いの両手を固く握り合っていた。その手を銀之丞は烈しく打振った。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
花薄荷はなはくか、燃えたつ草叢くさむら火焔ほのほしゝむら火蛇ひへびのやうなこの花の魂は黒い涙となつて鈍染にじんでゐる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そのに見る見る紅矢の身体からだは腕から肩へ、肩から腕へと紫色が鈍染にじみ渡って、やがて眼を怒らし、歯を喰い締めて虚空を掴んだまま、身体からだ中真黒な鉄の塊となってしまいました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)