遺誡いかい)” の例文
で、元就の遺誡いかいは、きょうまで尊重されて来た。——信長の如く、上杉、武田、徳川のごとく、積極的でなかったわけはそこにある。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この時堂上の僧は一斉いっせい合掌がっしょうして、夢窓国師むそうこくし遺誡いかいじゅし始めた。思い思いに席を取った宗助の前後にいる居士こじも皆同音どうおんに調子を合せた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
子孫に遺誡いかいでも垂れた結果かも知れない。
煙管 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
先帝の遺誡いかいにそむくまいと、自己を神格的なものに持ちささえている寡婦かふのつよい一心が、その姿までを、氷の中の花みたいに、きびしいものに作っていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは開山大燈の遺誡いかいの文にあった言葉かと思う。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)