透徹すきとほ)” の例文
况んや秋の日の光は美しく四山の白雲に掩映えんえいして、空の藍碧らんぺき透徹すきとほるばかりに黒く嶮しき山嶺を包み、うちに無限の秋の姿を藏したるをや。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
かの逆巻さかまく波に分け入りし宮が、息絶えて浮び出でたりし其処そこの景色に、似たりともはなはだ似たる岸の布置たたずまひしげり状況ありさま乃至ないしたたふる水のあやも、透徹すきとほる底の岩面いはづらも、広さの程も、位置も、おもむき
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)