逆鉾さかほこ)” の例文
いったいひとり荒岩に限らず、国見山でも逆鉾さかほこでもどこか錦絵にしきえの相撲に近い、男ぶりの人にすぐれた相撲はことごとく僕の贔屓ひいきだった。
追憶 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
天の逆鉾さかほこ、八大観音などいうものあるあたりを経て、また梯子を上り、匍匐はらばうようにして狭き口より這い出ずれば、忽ち我眼我耳の初めてここに開けしか、この雲行くそら
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ただ、常陸山、梅ヶ谷、大砲、朝潮、逆鉾さかほことこの五力士のそれぞれの濃厚な独自な個性の対立がいかにも当時の大相撲を多彩なものにしていたことだけは間違いない事実であった。
相撲 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
三光稲荷の夏祭は津島祭の逆鉾さかほこ舟——一年十二ヶ月は三百六十五の提灯ちょうちんを山と飾った華麗と涼味とを極めた囃子はやし舟である——にならって、これもおなじく水の祭が極彩色ごくさいしきでと町長の話であった。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
どこか昔日の力士逆鉾さかほこを思い出させるものがある。
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)