追悼ついとう)” の例文
が、その程度のつぐなひとして充分あの時追悼ついとうはしてやつた——彼はまた幾らか奉公人に酷な所もなかつたかと省みられるふしもないではない。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
もっともたった三十分の間に資性しせい穎悟えいごにして兄弟けいていゆうなる本多少佐を追悼ついとうするのは多少の困難を伴っている。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし、二七日の夜、追悼ついとう浄瑠璃大会が同じく日本橋クラブの二階広間で開かれると、お君は赤ん坊を連れて姿を見せ、校長が語った「紙治」のサワリで、ぱちぱちと音高く拍手した。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
追悼ついとうといったところで、改まった催しではなく、阿呆陀羅経あほだらきょうみたいなお経をあげ、お互に隠し芸を持ち寄って、飲んで食って、花火が打ち止んだ頃お開きにすればそれでよかったのです。